おでん事件

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「よかった。辛子多めに入れておきますね」 さらに満面の笑みで蓋をして袋に詰めてくれる。 「絶っ対、おいしいんですね?おでん。」 あんまりにも嬉しそうだから、ちょっと意地悪っぽく聞いてみる。 「ハハッ。ちゃんとおいしいですよ?」 「そっか。なら、楽しみだな。」 負けず営業スマーイル! 「ツマミにどーぞ。」 袋にビールを詰めながら言ったから、ちょっと恥ずかしくなってしまった。 …あっと、お金お金っ! バックの中を探ると、佐藤店長から貰ったクッキーが目に入った。 こんなに貰っちゃったし、お返しにあげようかなー。 「じゃあこれ、お礼といってはなんだけど!」 綺麗にラッピングされてるクッキーを差し出すと、お兄さんが固まった。 「貰い物で悪いんだけど…って、おーい?」 ん?どした? 電池切れたのか? 胸に付いてるネームプレートを見ると、堀田(ホッタ)と記されていた。 「…堀田くーん?」 と、覗き込んで名前を呼んだ途端、だんだん赤くなっていく顔。 あらら? 堀田くんは中指でメガネをクイッとあげた。 もしかして…照れてる? 「おでんのお礼!少しだけど、どうぞ。」「俺に、ですか?」 「そう。貰い物なんだけどおいしいから。絶っ対、ね!」 ニッコリ笑って、休憩の時にでもどーぞ。と付け加えた。 「…ありがとうございます。」
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