♯1・入学式と出逢いと

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‡‡ 『それでは、今年度新入生入学式を開式します』 司会の先生によって、講堂に集まる全員に開式の辞が告げられた。 俺はその集団には入らず、壇上の裏で海斗叔父さんと待機していた。 話によると、俺が初の島外からの新入生――というか転入生?らしく、対応の模範として、まずは校長から直々に紹介してみるという。 他の前例をアテにしないのは何故かと思ったが、敢えて口に出さなかったけど。 陽向「…………」 海斗「…何だ、緊張してるのか?」 妙に察しがいい。隣に立つ海斗叔父さんに突かれ、思わず苦笑を漏らす。 陽向「してないって言ったら嘘になる……けど」 海斗「けど?」 言葉を切り、俺は壇上で歓迎の言葉を述べている校長先生とクラスメートの方をチラと一瞥し、肩を落としてみせた。 陽向「……今は、期待と不安が勝ってるよ」 これも本音だ。 そう言い聞かせ、俺はまた講堂に集った面々を見やった。 陽向「生まれ育った環境が違うとはいえ、同い年だしな。何かしら、吸収出来るモノがあったりするんだろうなって。……ま、積極性に欠ける俺がうまくやってけるかの自信が、それ以上に不安なんだけど」 海斗「真面目だな?お前は本当に」 陽向「叔父さんが不真面目すぎなんだよ」 海斗「オジさんじゃなくてだな」 陽向「分かってるって。皆の前ではちゃんと分別するからさ」 海斗「ならいいが……陽向」 陽向「?」 海斗「青春は一度きりだ。後悔ない高校生活を、な。まあ、お前なら大丈夫だと思うが…」 陽向「叔父さん…」 海斗「ちなみに3年間の玉砕記録なんと30だからな!後悔はない!」 陽向「……少しでも尊敬した俺が馬鹿だったよ」 この期に及んで何の武勇伝を披露してんだ、この人は…… ‡
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