♯1・入学式と出逢いと

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‡‡ 校長『――それでは、今日から新しく入ってきた生徒を皆に紹介しようと思う。……君、入ってきて』 何時の間にか校長先生の話が一段落していた。 と思ったら、俺は叔父さんに背中を押され、壇上に少しよろけて姿を現した。 その様がおかしかったのだろう。他の新入生の所々からクスクスと笑い声が聞こえる。 校長『皆さん静粛に。……では、彼から自己紹介して貰いましょう』 動じない校長先生に心の中で感謝しておき、俺はマイクを受け取った。 陽向『――皆さん、初めまして。保積 陽向といいます。本日付けで、本島の都会から引っ越して来ました。分からない事だらけで不安ですけど、――さっき背中を押してくれた海斗先生も含め、皆さんと一緒に楽しくやっていきたいと思います』 海斗「何、人の名前出してるんだ!」バッ! 陽向『いや、事実だし』 海斗「うん、確かに間違ってないが――って、言うな!」ビシッ! 陽向『どんなノリツッコミですか、それ』 毛頭するつもりもなかった海斗叔父さんとの掛け合いで、講堂に笑い声が響き渡った。 案の定、叔父さんはぐっと言葉につまり、顔を真っ赤にしている。 何か考えてたんだろうな。初対面だから、初めはクールに決めよう!とか。 何でもかんでも、何かしらギャグが生じるからな、叔父さんって。 天性の才か。至極、要らない才だが。 陽向『先生、御陰様で緊張もほぐれました。アリガトウゴザイマス』 海斗「待て、棒読みではイカン!もっとこう、せ 陽向『それでは、これからよろしくお願いします』 海斗「なかった事にするな!」 キリがないので無理やり終わらせ、何か言いたそうな叔父さんを置いて、俺は再び裏に戻った。 緊張しなくて済んだけど、素を出すなよ叔父さん。 ‡
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