♯1・入学式と出逢いと

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‡ 舛川「――これで今日は終わりだけど、明日からは通常通りに授業が始まるから、ちゃんと忘れ物ないようにね?じゃ、解散」ダッ! そう告げると、舛川先生はダッシュで教室を出て行った。 それを見送り、窓際一番前の席で、俺はハアと溜め息をつき、窓の外を見やった。 視界に映るのは、青々とした海。その対岸には紡刻島本島が見えている。 そんなきれいな風景に相反し、心中は至って不安だらけだ。 本当に、俺はこの島でやっていけるのか? 「おや、転入生君が暗い顔してるなぁ?」 陽向「っ!?」 突然、目の前に男の顔が現れた。 健康的に焼けた肌。短い黒髪は、爆発させたかのようにツンツンしている。 思わず間抜けた声を上げ、咄嗟に身を引く。 陽向「な……?」 「おぉ!なかなか反射神経いいな。運動得意だろ?」 陽向「まあまあ。……えっと……」 渉「ああ、自己紹介まだだったな。俺は蟹群 渉(かむら わたる)。渉って呼んでくれよ!」 陽向「ワタルな、分かったよ。俺は保積 陽向」 渉「陽向、よろしくな!」 陽向「よろしく」 渉「さっそく何だけど、一緒に帰ろうぜ?」 陽向「……いいよ」 まくし立てるとは違うけど、早い彼のペースに飲まれ、ほぼ一方的に一緒に帰る事になった。 彼――渉の見た感じで、分かった事が1つある。 そうとう、お節介な世話焼きだという事だ。 渉の後に続き、廊下に出 「――あ!」 陽向「え?」 今、左から女の子の声が? 自分の事じゃないかもしれないが、一応その方を向いてみる。 と、 陽向「え」 視界に映ったのは声の主などではなく、 ――ガンッ! 陽向「痛っ!?」 ……今、顔に直撃したモノ――そう、通学カバンだ。 ……いや、何でだよ!? ‡
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