♯1・入学式と出逢いと

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‡ 奏「――って、あれ?渉は?」 陽向「家から呼び出されたって帰ったばかりだよ」 本当についさっき。計ったかのようなタイミングで、音成が昇降口から登場したのだ。 奏「そっか……っと。2、3年生は授業が始まってるから、本島に戻ろ!」ダッ 陽向「あ、ああ……」タッ にぱっと笑い、駆け出す彼女を慌てて追いかける。 明朗というか、そんな表現がしっくりくる。むしろ、体現してると言っても過言じゃない。 奏「さて、どこ行こうか?」 陽向「いきなりだな。……昨日来たばかりだから、君に任せるよ」 奏「……むー」 陽向「なんで非難の視線を向けるんだ」 奏「キミじゃ駄目!私が陽向君って呼んでるんだから、奏って呼んでよ!」 陽向「どんな相互関係だよ!」 奏「世間一般的な等価交換よ?」 陽向「絶対ウソだろ!」 露わになった干潮の道を歩きながら、音成はそう言ってころころ笑っている。 海面に反射した光が照らしだし、肩まである茶色っぽい黒髪を靡かせながら、それを自然な感じで纏っている。 ――島イチの美少女、か。納得だ。 奏「――どうしたの?私の顔に何か付いてる?」 陽向「!……いや、何でもない」 奏「何でもない人がじっと見て来ないよね?」 なんだ。見かけによらず鋭いな…… 陽向「考え事を不意にする事くらいあるだろ?」 奏「それもそうだね」 読んでたかの如く、音成は微笑んで即答した。 って、分かってるなら疑問たてるんじゃねぇよ。 ‡‡
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