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奏「――って、あれ?渉は?」
陽向「家から呼び出されたって帰ったばかりだよ」
本当についさっき。計ったかのようなタイミングで、音成が昇降口から登場したのだ。
奏「そっか……っと。2、3年生は授業が始まってるから、本島に戻ろ!」ダッ
陽向「あ、ああ……」タッ
にぱっと笑い、駆け出す彼女を慌てて追いかける。
明朗というか、そんな表現がしっくりくる。むしろ、体現してると言っても過言じゃない。
奏「さて、どこ行こうか?」
陽向「いきなりだな。……昨日来たばかりだから、君に任せるよ」
奏「……むー」
陽向「なんで非難の視線を向けるんだ」
奏「キミじゃ駄目!私が陽向君って呼んでるんだから、奏って呼んでよ!」
陽向「どんな相互関係だよ!」
奏「世間一般的な等価交換よ?」
陽向「絶対ウソだろ!」
露わになった干潮の道を歩きながら、音成はそう言ってころころ笑っている。
海面に反射した光が照らしだし、肩まである茶色っぽい黒髪を靡かせながら、それを自然な感じで纏っている。
――島イチの美少女、か。納得だ。
奏「――どうしたの?私の顔に何か付いてる?」
陽向「!……いや、何でもない」
奏「何でもない人がじっと見て来ないよね?」
なんだ。見かけによらず鋭いな……
陽向「考え事を不意にする事くらいあるだろ?」
奏「それもそうだね」
読んでたかの如く、音成は微笑んで即答した。
って、分かってるなら疑問たてるんじゃねぇよ。
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