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他愛もない話をしていたら、気付くと商店街に来ていた。
比較的多くの店が立ち並び、種類もなかなか。控えめながら賑わいを見せているそれを見ながら、俺は思わず「へぇ」と声を漏らした。
陽向「……あんま変わらないんだな」
奏「それって都会(あっち)は、って事?」
陽向「ああ……まあ、この倍以上はあるけどな?店も、人も」
奏「わぁ……息苦しくないの?」
陽向「むしろ、それがあって普通というべきだからな。ないと逆に不安になる」
奏「へぇ……」
隣で目をキラキラと輝かせる音成。
背丈の所為もあって、その様子は興味深々な子供のようだ。……まあ、まだ子供なのだけども。
奏「ねぇ、もっと話聞かせてよ!そういう、こっちでは想像もつかないような話♪」
陽向「いいけど……大したモノはないよ」
奏「私にとっては大した話なの!」
陽向「なるほど、……分かったよ」
奏「ホント?やったぁ!」
ギュッ、
陽向「!」
何だと思ったら、音成は俺の右手を両手で握り、ぶんぶんと大きく縦に振った。
不意を突かれ、ガクンガクンと体が腕に呼応するように揺れる。
正直、気持ち悪い。脳が揺れるという感覚なのか、左右の視線が定まらないでいる。
陽向「~~分かったから、離せ!」
奏「はい」パッ
陽向「え」
迷いなく、言われた通りに彼女は俺の手を離した。
上に振り上げた瞬間に。
まあ、妙なポーズになったワケだが……
奏「……ジユウノメガミ?」
陽向「違うし、何故カタコト!?」
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