♯1・入学式と出逢いと

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‡‡ 合流した渉を加えた俺達は、たまたま目についたファーストフード店に入った。 何故か奢ると言い出した渉にあやかり、3人分のドリンクとポテトを買い、窓際奥のテーブルに揃って腰を下ろした。 渉「――そういや陽向ってさ」 陽向「ん?」 渉「結構イケメンだけど、前居た街ではどうだったんだ?」 陽向「どうって、何が?」 渉「何って……コレだよコレ」 そう言い、渉はポテトをつまんだまま右手の小指を立てた。 どう見ても、指し示そうとしている意味と違うぞ。指先が横を向いてたら…… 陽向「渉、お前……ホモだったのか?」 渉「いや待て!それは違うぞ!」 奏「やだ~~♪」 渉「楽しそうに言うな!」 陽向「…………フッ」 渉「鼻で笑うなよ!?」 奏「やだ……」 渉「素でドン引きされても困るんですけど」 奏「あ、認めた!」 渉「認めてねぇよ!?何でそうなった!?」 ギャーギャー騒々しくなる2人を傍目で見ながら、俺はポテトをつまんで口へ運ぶ。 ふと、何気なく窓越しの外へ視線を向ける。 陽向「…………」 少し遠くにある公園では、子ども達が無邪気な笑顔で走りまわっている。 道路を挟んだ向かいの歩道には、ベビーカーを押す若い夫婦の姿があって。 昼休憩をのんびりしすぎたのか、焦った様子で走って行くスーツ姿の男性。 穏やかに……でも、至って自然に時を紡いでいく。紡刻島、か。 奏「本当、渉って変態だよね♪」 渉「誰がド変態だ!」 ……よくやるよな。こんな賑やかな事。 飽くことなく続けている2人に心の中で毒づきながら、代わりに微笑んでみせた。 なんとなくだけど、此処でなら俺は失わないで済む。 そう、漠然と思えたから。 ‡
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