♯1・入学式と出逢いと

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‡ 奏「ただいま!」 結局、ほぼ無理やりに近い勢いで、2人を連れて帰ってきたんだけど…… 陽向「……お前いつから此処の住人になったんだよ」 奏「だって、新しいし広いじゃん!」 陽向「理由が無理矢理な気がするのは気の所為か?」 渉「でもまあ、確かにあと2、3人は住む余裕はあるよな?」 妙なテンションの音成とは対照的に、渉は落ち着いた様子でそう言った。 確かに、余裕はあるんだけどな。 陽向「学生寮じゃないし、流石に未成年で同居するワケにはいかないだろ?」 奏「えー!」ガーン! 陽向「何でお前が非難の声あげてんだよ!?」 奏「うーん…色々と話を訊くには、ちょうどいいと思ったんだけどね?」 陽向「んな事は同居してまでやらなくても日常でいいだろ!」 奏「そんなにネタないもん」 陽向「知らねえよ」 ……このように、いくら人気の的であっても、中学あがったばかりの女の子。 “同居=泊まり”みたいな方程式が、音成の頭で成り立ってるのだろう。たとえクラスメートの1人暮らし……それも、男であれ。 自重する必要があるはずなのに、その気が微塵も感じられないのは一体。 渉「――まあ」 陽向「?」 渉「確かに、音成が直に打診すれば、あの爺さんは承諾するかもしれないけどな」 渉の言葉に、俺は思わず眉をひそめた。 陽向「渉……普通は逆じゃないのか?孫娘を男1人暮らしの下に――って、拒否する確率が高いと思うが?」 渉「……まあ、一般家庭の一般的な考えだったら、そうなるな。けど、爺さんは島の長。子供は女となれば、必然的に発生するだろ?」 陽向「何が?」 渉「――“男手の確保”だよ」 ……そういう事かよ。 ‡‡
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