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奏「ただいま!」
結局、ほぼ無理やりに近い勢いで、2人を連れて帰ってきたんだけど……
陽向「……お前いつから此処の住人になったんだよ」
奏「だって、新しいし広いじゃん!」
陽向「理由が無理矢理な気がするのは気の所為か?」
渉「でもまあ、確かにあと2、3人は住む余裕はあるよな?」
妙なテンションの音成とは対照的に、渉は落ち着いた様子でそう言った。
確かに、余裕はあるんだけどな。
陽向「学生寮じゃないし、流石に未成年で同居するワケにはいかないだろ?」
奏「えー!」ガーン!
陽向「何でお前が非難の声あげてんだよ!?」
奏「うーん…色々と話を訊くには、ちょうどいいと思ったんだけどね?」
陽向「んな事は同居してまでやらなくても日常でいいだろ!」
奏「そんなにネタないもん」
陽向「知らねえよ」
……このように、いくら人気の的であっても、中学あがったばかりの女の子。
“同居=泊まり”みたいな方程式が、音成の頭で成り立ってるのだろう。たとえクラスメートの1人暮らし……それも、男であれ。
自重する必要があるはずなのに、その気が微塵も感じられないのは一体。
渉「――まあ」
陽向「?」
渉「確かに、音成が直に打診すれば、あの爺さんは承諾するかもしれないけどな」
渉の言葉に、俺は思わず眉をひそめた。
陽向「渉……普通は逆じゃないのか?孫娘を男1人暮らしの下に――って、拒否する確率が高いと思うが?」
渉「……まあ、一般家庭の一般的な考えだったら、そうなるな。けど、爺さんは島の長。子供は女となれば、必然的に発生するだろ?」
陽向「何が?」
渉「――“男手の確保”だよ」
……そういう事かよ。
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