♯1・入学式と出逢いと

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‡ 渉「そういや、カレーって確か香辛料の……」 突然顎に手をあて、考えるふうに視線を空に漂わせた渉。 一体、何をいきなり真面目顔になってんのか…… 渉「はっ……そうだ、カライマサイだ!」 陽向「なんだその新種の民族みたいな名前は……それを言うならガラムマサラだろ」 渉「あれ、そうだっけ?ていうか、よく知ってんな?バ○ク・オ○マなんて」 陽向「それは米大統領だ!……ワザと間違えるなっての」 渉「んな怒るなって。……っての、入ってんだよな?」 陽向「とことん引きずってもまだ足りないか。……そこまで詳しくは知らないよ。自分でネットとか使って探せば分かるだろ?」 渉「お、そうだな。陽向は賢いな!」 陽向「自分で探す気がさらさら無かった事がモロ見えだぞ渉……って」 渉「免疫ないからな……仕方ないな、こればっかは」 俺と渉は苦笑し合い、存在感が一瞬で薄れた一方を見た。 まあ、その一方は音成なのだが、先刻の渉の冗談が真に受け過ぎたようで。 傍で固まってた彼女を促し、席につかせたものの……握ったスプーンが全く動く気配がない。 と言うか、音成自身が動く気配がないというか。 動かざるコト、山――もとい、岩の如し、だ。 渉「…………」 陽向「…………」 渉「……しかし、」 陽向「何だよ渉?考え込むフリして……」 渉「考えてんだって。……いや、今まではさ、此処まで固まって動けないのが続いた事なかったからな?珍しい事もあるもんだなと」 奏「そうよね~~いきなり何してんだか私」 陽向「ああ、本当にな」 ――ガタンッ、 陽向&渉「お前だよ!?」 俺達のツッコミに、音成は屈託のない笑い声をあげ、取り繕うようにカレーをようやく口に運んだ。 ‡
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