♯0・刻を紡ぐ島

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‡ 海斗「――さて、荷物はこんなトコか?」 陽向「これで全部だよ。必要最低限のモノだけにして、後は全部売っちゃったし」 海斗「ならいいが……今時のお前の年代にしては、閑散とした部屋になったな」 ぐるっと辺りを見回し、海斗叔父さんはそう言った。 俺は溜め息をつき、おきまりの如く頭をボリボリと掻く。 陽向「“必要最低限”だって言ったし、……それより、」 海斗「ん?」 陽向「本当にいいの?俺がこの家、好きに使っても」 そう、準備されていたのは、少し郊外に建つ一軒家だったのだ。確か、叔父さんの知り合いの家だったハズだけど。 すると、叔父さんは腰に手をあて、待ってましたとばかりに鼻を鳴らした。 その様子が豚か猪に見えるのは、きっと叔父さんがメタボな所為に違いない。 海斗「実はな、甥っ子が来ると話をしたら、家主がちょうど転勤で海外に移住する事になっていてな。お前に受け渡す事を快く了承してくれたのだ!」 陽向「そういう大事な事は前もって言って欲しかったけどな」 海斗「紡刻島民になる事と、高校入学の祝いだと思ってくれたらいい。この上ないサプライズなプレゼントだろう?」 陽向「正直びっくりなプレゼントだよ。……て言うか、家賃とかどうするんだ?」 海斗「いや、それは当たり前に僕の方で管理するよ」 陽向「常識外れてなくて、心底安心しました」 海斗「それはどういう意味だ?」 ――過去を振り返ってくれ、叔父さん。 ‡
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