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海斗「遅かったな、整理に手間取ったか?」
陽向「そうじゃないけど、リビングにあるままのモノを把握してただけ。明日以後、ちゃんと管理しないといけないんだからさ」
海斗「中学を卒業したばかりの言う事じゃないぞ、それは」
陽向「…叔父さんにツッコまれる日が来るとは思わなかったよ」
海斗「なにを!」
楓「うるさいっ!」
パコン!
叔父さんの後方からスリッパが飛んできて、その後頭部にクリーンヒットした。
ワザとらしく頭をさすりながら、叔父さんは後ろを振り向く。
海斗「痛いな、もう」
楓「兄さんがいつまでも賑やかだからです!ほら、玄関で話してないで、陽向君も上がってね」
陽向「助け舟を出してくれて助かります、楓姉さん」
楓「あら」
何も可笑しな事は言ってないのだが、彼女はクスクスと笑った。
保積 楓(かえで)。
肩より少し下まである綺麗な茶髪で、普段はストレートだけど……今日はサイドポニーでまとめている。
海斗叔父さんの7つ下の妹で、この家に2人で暮らしている。
陽気な叔父さんとは対照的に、落ち着いた大人な人。
また世話好きで、実際今の現状に至るのも、叔父さんの不摂生を懸念した結果。
そんな女性なのに、叔父さんはともかく、楓姉さんも未婚。
もしかしたら――と、世間的にまずい関係じゃ……なんて冗談めかして言ったら、真面目に拒否られたので、その方向性は皆無。
謎だ。
楓「それにしても久しぶりね。5年振りかしら?」
陽向「そうだね……――まあ」
楓「?」
陽向「……いや、何でもないです」
楓「え~、何?気になるじゃない」
ツンツンと突っついてくる楓姉さんに苦笑しつつ、俺は出そうになった言葉を飲み込んだ。
流石に……うん。
『背は変わらないのに、育つトコは育つんだね』なんて、自爆フラグもいいトコだよな……
だって、そう思ってしまう。
楓姉さんって確か…25歳のはずだけど、前――5年前だから、20歳の時ですでにFあったのに……なんか、よりボリュームが増してる気が……する。
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