♯0・刻を紡ぐ島

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‡ 海斗「遅かったな、整理に手間取ったか?」 陽向「そうじゃないけど、リビングにあるままのモノを把握してただけ。明日以後、ちゃんと管理しないといけないんだからさ」 海斗「中学を卒業したばかりの言う事じゃないぞ、それは」 陽向「…叔父さんにツッコまれる日が来るとは思わなかったよ」 海斗「なにを!」 楓「うるさいっ!」 パコン! 叔父さんの後方からスリッパが飛んできて、その後頭部にクリーンヒットした。 ワザとらしく頭をさすりながら、叔父さんは後ろを振り向く。 海斗「痛いな、もう」 楓「兄さんがいつまでも賑やかだからです!ほら、玄関で話してないで、陽向君も上がってね」 陽向「助け舟を出してくれて助かります、楓姉さん」 楓「あら」 何も可笑しな事は言ってないのだが、彼女はクスクスと笑った。 保積 楓(かえで)。 肩より少し下まである綺麗な茶髪で、普段はストレートだけど……今日はサイドポニーでまとめている。 海斗叔父さんの7つ下の妹で、この家に2人で暮らしている。 陽気な叔父さんとは対照的に、落ち着いた大人な人。 また世話好きで、実際今の現状に至るのも、叔父さんの不摂生を懸念した結果。 そんな女性なのに、叔父さんはともかく、楓姉さんも未婚。 もしかしたら――と、世間的にまずい関係じゃ……なんて冗談めかして言ったら、真面目に拒否られたので、その方向性は皆無。 謎だ。 楓「それにしても久しぶりね。5年振りかしら?」 陽向「そうだね……――まあ」 楓「?」 陽向「……いや、何でもないです」 楓「え~、何?気になるじゃない」 ツンツンと突っついてくる楓姉さんに苦笑しつつ、俺は出そうになった言葉を飲み込んだ。 流石に……うん。 『背は変わらないのに、育つトコは育つんだね』なんて、自爆フラグもいいトコだよな…… だって、そう思ってしまう。 楓姉さんって確か…25歳のはずだけど、前――5年前だから、20歳の時ですでにFあったのに……なんか、よりボリュームが増してる気が……する。 ‡
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