第1章 狂い変わる世界

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行ってみるとそこは、全身を毛だるまにしたマリモのような生物がいた。 『なんだ、あれ…き、気持ち悪っ…!!』 その声に反応したかのように、その獣はゆっくりと紫苑の方を向いた。 よく見たら、顔も毛で覆い尽くされていた。 「……オマエ…ダレ…」 『……っ…!!』 毛で覆い尽くされた顔から微かに覗く、緑色の淡い目がこちらを見た時背筋が冷たくなった。 『…っ…、お、お前こそ…誰だっ…』 強がって見せるが、声は微かに震えていた。 見たことない世界、そして生き物。いきなりのことで頭の整理が付かない紫苑は、いつもの威勢がなくなっていた。 『(こ、わい…っ…)』 ただ頭の中にはそれしか思い浮かばなかった。 逃げると言うことは、今の紫苑には出来なかった。 『……オマエ…、タマシイ…クレ…』 『……ひっ…!!』 もぞもぞと動いた後、体から大きな口が開いた。 紫苑は、軽く悲鳴をあげ固く目を瞑った。 「――シャイン・クロス」 その声と同時に、さっきの獣らしき声から悲鳴が上がった。 その悲鳴と同時に、大きな音を立てて何かが倒れた。 「――大丈夫…か??」 その声を聞き、ゆっくりと目を開いた。 綺麗な光輝く黄金色の瞳―― ただ純粋に、カッコいいと思った。 「大丈夫か??」 『……ぇ…、ぁ…うん…』 そう答えると同時に、相手の人はゆっくりと優しく微笑んだ。 そしてそのまま、優しく頭を撫でた。 「ならいいんだ、お前…名前は??」 『俺の名前は…、紫苑…白來紫苑だ…』 「ハクライ…シオン…??変わった名前だな…」 ポンポンと頭を撫でる相手を、紫苑は不思議そうに見つめていた。 その視線に気付いたのかまた優しく微笑んだ。 ヤ「俺は、ヤヨイ・クロードルだ、よろしく」 『よ、…よろしく…』 微笑んだまま、手を差し出すヤヨイに戸惑いながらも紫苑は手を差し出す握った。 ヤ「それにしても、なんでこんな所にいるんだ??」 『……え…??』 ヤ「ここは、危険地域だ。迷子…はないと思うが……」 『そ、それは…っ…』 モゴモゴと口を動かす紫苑を見て、ヤヨイをきょとんと見つめていた。 だが、ふと何を思ったのか歩き出した。 『……ちょっ、ヤ、ヤヨイさん…っ!?』 ヤ「とりあえず移動をしよう、ここは危ない」 『……あ、…はい…』 .
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