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ヤ「――ということは…、お前はこことは違う世界、異界から来たということか…」
『は、はい…』
紫苑達は、あの後にあそこから出て近くにある泉に来ていた。
そして、何故あそこにいたのか…とりあえず話せることは全て話した。
『……信じて…くれますか??』
ヤ「……お前の瞳には、嘘をついているようには見えない、信じよう…お前の話を」
顎に手をやり、考える素振りを見せた後に微笑んで見せた。
そして、ぽんっと頭を撫でる。
ヤ「…じゃあ、今行く宛がないのか…??」
『はい…、来たばっかりですし…』
ヤ「なら、俺と暫くと間一緒にいるか??」
『……え…、ヤヨイ…さんと…??』
きょとんとヤヨイを見つめる紫苑。そんな、紫苑を見てニコッと笑うヤヨイ。
その笑顔に安心したのか、心が暖かくなるのがわかった。
『…俺、足手まといになるかもしれないけど…いいですか??』
ヤ「ああ、大丈夫だ。俺は気にしない」
ぽんっと頭を軽く撫でると、ヤヨイはゆっくりと立ち上がった。
その様子を、紫苑はただじっと見つめていた。
『あ、ありがとう…ございます…』
ヤ「礼はいい、とりあえず…ここの近くに町があるんだ。まず、そこに行こう」
『は、はい…っ!!』
その言葉と同時に、紫苑は慌てて立ち上がりヤヨイを追い掛けた。
――湖の町【プーレイナ】――
『綺麗な町ですね…』
ヤ「ああ、ここは別名【湖の町】とも言われているんだ」
『湖の町…ですか??』
そう言われ、辺りを見渡して見た。よく見ると、建物は全て青色で統一されており綺麗な透明の飾り付け等もあった。
そして、町の中央には大きな噴水があり、噴水の中心に大きな人魚の像があった。
『あ、あれは…??』
ヤ「あれは【レディーナ】と言う湖の女神なんだ、全てを清める女神らしい」
『なるほど…』
じっと【レディーナ】の像を見つめた。
確かに、よく見たら女神のように銅像だが綺麗な顔をしていた。
そして、額には藍色の小さな宝石が埋め込まれていた。
『…初めて来たのに、よく知ってるんですね…』
ヤ「情報収集は、得意分野なんだ」
『……スパイですか』
ヤ「スパイは流石にないだろ…」
紫苑の言葉に苦笑いを溢すヤヨイ。
そして、そのままある建物に入って行った。
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