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ガッッ!!
鈍い音が響き、帆鷹が倒れ込む。
銀獅子丸は、いつの間にか帆鷹の背後におり、すでに木刀を腰の辺りに携えていた。
「…!!」
黒龍は、目を見張っていた。
銀獅子丸の素早すぎる動作が一瞬のうちに勝負をつけていたようだが、何をしたのか見とれなかったのだ。
「俺の、敗けだな…。」
苦しそうな声で帆鷹が呟いた。
「申し訳ありません、帆鷹様、必ず皇子を無事にお戻しします。」
銀獅子丸は、静かな声で応じた。
「銀獅子丸よ、一体何をしたのだ?」
黒龍の問いかけに、帆鷹が起き上がりながら答えた。
「うっ…。すばらしい速さでした。私の突きをかわし、後ろから一撃を浴びました。
この者なら旅の間、あなた様を守れるでしょう。 」
「そうか…。帆鷹、付き合わせてすまなかったな…。」
黒龍は改めて銀獅子丸に視線を移した。
「では、帆鷹のお墨付きも貰えたところで、銀獅子、これからよろしく頼む。」
黒龍の勝ち気な瞳が少し笑ったように見えた。
「はい、よろしくお願いいたします。」
銀獅子丸は、にこりとして答えた。
ーーこれが、黒龍と銀獅子丸の旅の始まりであった。
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