旅の道連れ

4/13
前へ
/93ページ
次へ
「銀獅子ーーっ!!!」 「は、はい・・・?」 謁見が終わり、自室に引き上げると、黒龍は即刻、銀獅子丸を呼び寄せた。 その剣幕たるやものすごく、顔を見るなり銀獅子は逃げ出したくなるほどだった。 「おぬしのせいで母上を不安にさせてしまったではないか! おぬしはなんだか存在感が薄くて弱そうなのだ! もっと強そうな雰囲気を出さぬか!」 (えー・・・) 黒龍の無茶苦茶な要求に、銀獅子丸は心の中だけで抗議の声を上げた。 この2日、皇子と接してきたが、銀獅子丸は事あるごとにこのような無茶を交えた要求と、説教(・・・というよりは文句)を聞かされ、彼がどのような性格なのかをようやく思い知ったのだった。 (我が儘・・・) 会うまではまさかここまで我が儘だとは思っていなかった。 これから二人だけで旅に出るのかと考えると、銀獅子丸は不安になったが、もう乗りかかった船。後には引けないのだ。 二人が初めて顔を合わせたのは2日前、宝物殿の入り口でのことだった―。
/93ページ

最初のコメントを投稿しよう!

22人が本棚に入れています
本棚に追加