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「銀獅子ーーっ!!!」
「は、はい・・・?」
謁見が終わり、自室に引き上げると、黒龍は即刻、銀獅子丸を呼び寄せた。
その剣幕たるやものすごく、顔を見るなり銀獅子は逃げ出したくなるほどだった。
「おぬしのせいで母上を不安にさせてしまったではないか!
おぬしはなんだか存在感が薄くて弱そうなのだ!
もっと強そうな雰囲気を出さぬか!」
(えー・・・)
黒龍の無茶苦茶な要求に、銀獅子丸は心の中だけで抗議の声を上げた。
この2日、皇子と接してきたが、銀獅子丸は事あるごとにこのような無茶を交えた要求と、説教(・・・というよりは文句)を聞かされ、彼がどのような性格なのかをようやく思い知ったのだった。
(我が儘・・・)
会うまではまさかここまで我が儘だとは思っていなかった。
これから二人だけで旅に出るのかと考えると、銀獅子丸は不安になったが、もう乗りかかった船。後には引けないのだ。
二人が初めて顔を合わせたのは2日前、宝物殿の入り口でのことだった―。
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