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宝物庫の奥に精霊刀はあった。
ろうそくの明かりに照らされ、柄を飾る宝石が輝く。鞘にも美しい彫刻が施されている。
宝飾だけでも十分に価値のある宝刀だが、それ以上にその身に宿す精霊の力こそが貴重なのだ。
しかし、黒龍にはそれくらいの知識しか与えられていなかった。具体的に、この刀がどのような力を秘めているのかは知らされていない。なにをどうすれば精霊の力が使えるのか、それがどんな力なのか・・・正直なところ細かく考えずに取りに来たのだった。
しげしげと刀を眺める黒龍に、銀獅子丸は説明を始めた。
「精霊刀は、遥か昔、とある一族に精霊の長から与えられた宝と伝えられています。
刀が宿す力は、この世とは異なる精霊の世界のものです。」
「精霊の世界の力・・・?どのようなものなのだ?」
黒龍の質問に、銀獅子丸はすっと刀を差し出した。
「皇子、その質問にはこの刀を抜いていただくのが1番手っ取り早いかと思います。」
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