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差し出された精霊刀を受け取り、ひとしきり眺めると黒龍は柄に手をかけた。特に普通の刀と変わった所はなさそうだったが・・・
「なっ・・・?!」
刀を鞘から引き抜くと黒龍は思わず声を上げた。
・・・刀身がない。
「これは一体・・・!?」
美しい柄からすらりと伸びるはずの刀身が見当たらない。
(こんな・・・)
「こんな間抜けな刀があるかーっ!馬鹿にしているのか!」
黒龍は怒りに任せて銀獅子丸に柄だけを放り投げた。慌てて手を伸ばし、銀獅子丸がそれを受け取る。
精霊刀の柄のみが銀獅子丸の掌に収まった次の瞬間だった。
--シュンッ
「!」
何もないはずの柄の先から光が生まれた。
一筋の白銀の光。
銀獅子丸はそれを当たり前のように振り直し、右手に持ち替えた。
「・・・わかっていただけましたか?」
光の刀身。今まで目にしたことも、聞き及んだこともない。
黒龍は何度も瞬きしてその奇妙な刀を見つめていたが、「ああ・・・。」と納得の声を漏らした。
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