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「この刀には、普通の刀のような刀身は存在しません。
この光の刀身は、精霊の世界の力によって作られているからです。」
「なるほど。それで精霊刀と・・・」
「そして、刀をお使いになるのであれば、私も一緒にお連れいただかなければなりません。」
「・・・なに?」
銀獅子丸の言葉に、黒龍はまたも顔を曇らせた。
「先ほど、黒龍様が刀を手にした時、この光が現れなかったことを覚えていらっしゃいますか?
この刀は、私のみが使うことのできるものなのです。正確には、代々私の血族の者のみが使うことを許されたと言いましょうか・・・」
「そうか・・・。」
銀獅子丸の一族こそが、精霊から刀を託された一族だったのだ。精霊刀の真の力を使いたいのであれば、銀獅子丸がそれを行使しなければならない。
「・・・。」
黒龍は悩んでいるようだった。
銀獅子丸はさっき会ったばかりの男だ。宝物庫の番人という以外は、この男について何も知らない。
これから月読の社までの旅路を共にするとなると、すぐには決断できなかっただろう。
少しの間考えて、黒龍は口を開いた。
「わかった。では、あなたの力を試させてもらいたい。
そういえばあなたの名前を聞いていなかったな。」
「は、銀獅子丸と申します。」
ここで、やっと銀獅子丸は、自分の名を口にしたのだった。
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