りりあ

3/14
795人が本棚に入れています
本棚に追加
/407ページ
兄が死んでから5年間、わたしは彼の言い付けを守り生き続けてきた。 5年前始動した【吸血鬼同化計画】。 政府の研究チームに所属していたお兄ちゃんは、その計画が始まるのと同時に自ら命を絶った。 わたし独りを残して━━…………。 「りりあ、ニュース見た?先月捕獲された人間の数、供給量に全然足りなかったんだって」 学校で支給される゙血″を飲みながら、友達のマリナは笑った。 「……へぇ」 口元を紅く濡らすマリナに、相槌を打つ。 月に照らされた廊下を行き交う吸血鬼たち。 毎晩の授業が終わると食堂で支給される血液を、全員が上手そうに補給している。 この゙血″は政府が所有する【食糧庫】から届くものだ。 国民全員には行き渡らない。 この食糧庫から来る゙血″は政府が認定する企業や学校、施設だけがもらえるものだ。    
/407ページ

最初のコメントを投稿しよう!