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「は──…」
冬も終わりを迎え、春の少し生ぬるい風が頬を掠る。
屋上の手すりに寄りかかり、空を眺めながら、鼻から息を吸っては口から吐いて。
そうして、何度も深呼吸を繰り返した。
お母さんが死んだことは決定事項なんだ。
そう自分に言い聞かせようとすると、瞼の裏にたまった涙が一気に溢れ出そうだった。
「………。」
空を見上げると、私の心とは真逆な曇りない晴天。
ゆっくりと目を閉じる。
このまま、深い暗雲にのみこまれそうだ。
私はこれからどうしようか。
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