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消えた
2人は必死に走っているが、学生の時の体力はないようで、ハァハァと相当息があがる。
ユイの所に戻る途中、行きに見たモアイ像に似た岩が俺の目に入った。
月灯りで泣いているように見えた。
行きに見た時は泣いているようには見えなかった。
俺は少し疑問に思ったが、そんなことを気にとめている余裕はなく、必死に走った。
トンネルに入り、車に近づいたがユイが居る気配がない。
2人は焦った。
『ユイ!ユイ!!』
呼んでも返事がない。
『怖くなって、俺達を追ったのかも』(シュウ)
『それならいいんだけど…』(俺)
俺にはおばあさんが危ない、戻れと言われたことが気になった。
『とりあえず探そう』(シュウ)
『おう』(俺)
2人で手分けして探した。
『ユイ!ユイ!!』
呼んでも呼んでも、いっこうに返事は帰ってこない。
2時間探したがユイは見つからない。
おばあさんが住んでいる民家にも戻ってみたが、ただの草むらしかなかった。
『確かこの辺りだったよなぁ』(俺)
『うん!間違いないはず』(シュウ)
『ヤバいやろ』(俺)
『なんでなん…』(シュウ)
2人に今までにない恐怖がはしった。
突然シュウが
『そういえばこの道路…1台も車通ってなくない…』
『ホントだ…』(俺)
『とにかくユイを探すしかない』(シュウ)
『俺はこっち探すからお前はそっちな』(俺)
しかし、見つかる気配はない。
携帯を見ても電波はないし、着信ない。
探しまくったが結局見つからず、朝を迎えた。
途方に暮れている状況で、シュウが冗談半分に
『エンジンかけたら、かかったりしてね』
俺も半信半疑でキーを回すと、エンジンがかかった。
『とりあえず警察行こー』(シュウ)
『そうだな』(俺)
車に乗り込み、警察に向かった。
ハンドルを持つ手は、ブルブルと震えていた。
正直にいうと『どうしよう…どうしよう』と心の中で繰り返していた。
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