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燃え盛る炎の中、ウリエルに向かって歩くカイトの姿があった。
その青い瞳は吊り上がり鋭い眼光を放ち、赤い髪は炎と一体化しているように見える。
そして何よりもウリエルが驚いているのは、カイトの身体から溢れ出る闇の魔力。
一目で何が起きたのかを把握したウリエルの額からは嫌な汗が滲み出ていた。
「貴様!? どこにそれだけの力が!?」
闇を纏うカイトの姿を見たウリエルは驚きを隠せずにそう言った。
するとカイトはウリエルを睨みつけ言葉を返す。
「お前にはわからねぇよ。俺の身体を通して出る力は、人々の思いの力だ!」
カイトはそう言うと手をウリエルに向けて魔法を放った。
「“貫け”ダークレイ」
カイトの放った魔法は目にも留まらぬ速さでウリエルに向かう。
とっさに魔法をかわそうと身体を反らすウリエルだったが、高速の闇の魔法はウリエルの翼を捕らえた。
「ぅがぁあ!?」
貫かれた翼は風穴を空け、ウリエルの表情は苦痛に歪む。
「痛いか? 怖いか? それを感じてるのはお前が生きてる証拠だ! 考えてみやがれ! お前だって人間の時は何かを求めて生きてたはずだ!」
「何かを……求めて生きていた?」
「そうだよ! 俺は自由な平和が欲しくて今を戦ってる! ならお前は天使になる前はどうだったんだ!」
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