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「「ハァァァ!!」」
金髪の少年と黒い長髪の少年は互いに切り合っていた。
薄暗い空間にゴツゴツとした岩の壁。
そして辺りに響く金属音に飛び散る火花。
だがなぜだろう……。
その二人の少年はお互いに涙を流して戦っている。
金髪の少年は高く飛び上がり、青い炎を纏って長髪の少年の前に剣を突き刺した。
青い火柱が長髪の少年の下から立ち上がるが、その少年はそれを後ろに跳んでかわした。
だが青い火柱は少し黒みを帯びた龍となりその少年を捕らえる。
そして金髪の少年は紅い刃の剣で長髪の少年を十字に切り裂いた。
決着は着いた。金髪の少年は剣を鞘にしまい悲しい表情で長髪の少年に歩み寄る。
「僕に……近付くな。剣を……抜いて……戦え」
「嫌だ! もう止めよう……。決着は着いた……」
激しい言い合いの中、二人の様子を眺めている者がいた。
右に純白の翼を。左には漆黒の翼を纏ったその者は二人の殺し合いを見て笑みを浮かべていた。
その笑みは明るく無邪気ささへ感じる。まるで天使のようだ。
だがなぜだろう? その笑みの奥には黒い何かが見え隠れしていて……。
そんな中、再び金属音が鳴り響く。
片刃の剣が地面に突き刺さった。
「……フッ。僕の負けだ……。殺れ……」
「……うおぉぉぉ!」
金髪の少年は剣を頭上高く振り上げてその少年に剣を振り下ろそうとした。
涙をこぼしながら。そして長髪の少年は小さく笑みを浮かべながら目を閉じている。
金髪の少年の刃が彼を捕らえる直前に激しい揺れが彼等を襲った。
「フフフ。ハハハハハ! 封印は解かれた。もはや人類に未来はない!」
声高らかに翼を持つ者は笑った。これから起こる戦いの先を知っているかのように……。
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