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棗は手探りで近くにあった木の枝を掴むと構えた
男をキッと睨みながら、背にかばう誠也に小さな声で話し掛けた
棗 「誠也、ママの後ろから離れちゃダメよ」
誠也はいつもと違う母のピン取張り詰めた声と雰囲気に無言で頷いた
男は枝を構えた棗を見て腹を抱えて笑いだした
「ガッハッハ!そんな小枝で俺とやりあう気か?愚かな」
未だ笑い続ける男を余所に棗は間合いを測っていた…
実は棗は幼い頃から剣道をたしなんでいた、実家が道場を開いていたからだ…
たとえ勝てなくても良い相手の動きを封じ、隙をつき真琴を救い誠也と逃げる時間が稼げれば良いそれだけだった
そしてあの刀はどう見ても本物だ…なぜこんな所に刀を持った男がいるのか…
しかしそんなことは今の棗にはどうでも良かった、とにかく真琴と誠也を助けなくては…それが最優先だったのだ
散々笑った男が刀を構えて近づいてきた
ジャリっと足音が響く…
ニヤリと笑った男が
「売っぱらうまえに味見だ、人妻も悪かねぇ…」
等と涎を拭いながら刀を翻した…
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