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「ハニーちゃん、悪いんだけど今日だけコイツのワガママ聞いてやってくれないかな?」
そう言って禅は海人の頭をくしゃくしゃに撫でた。
海人に向けられたその微笑みを見ていたら、こんな状況なのに思わず見とれてしまっていた。
この人の笑みはなんとも言えない魅力があるなぁと。
またもやぼーっとしていると、すっと伸びてきた禅の手が、顔にかかっていた髪をそっとかきあげた。
大きくてゴツいその手が一瞬耳に触れると、ゾクッとして一気に頬が熱くなる。
「ハニーちゃん?」
「えっ!あ…うん…。」
気付くとそう返事を返していた。
「やったぁ!」
はしゃぐ海人の声もどこか上の空。
お兄ちゃんみたい!
ついさっきまでそう思っていた。
何でそんな風に思ったんだろう?
この人は『男』だ。
はしゃぐ海人を肩車しながら、ちらりと振り返った禅は口の端を少しだけ上げて意味有り気に笑った。
何で気がつかなかったの!?
めちゃくちゃ雄のオーラが出てるじゃない!
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