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扉が閉まったのを確認すると、素早くシャツを脱いでブラジャーをつける。
「どうする?行く?」
太郎をなでながらそう聞くと太郎はペロリと蜜の手を舐めてまた伏せた。
「寝るのね。おやすみ。」
太郎の頭に軽くキスしてそっと立ち上がって部屋を出た。
リビングに入ると禅がソファーから手招きしている。
「ごめんな。ありがと。ハニーちゃんも飲めよ。」
そう言うとビールを差し出した。
「ありがと。でもいいや。帰らなくちゃ。」
時計を見るといつの間にか22時を過ぎていた。
「え?俺飲んじゃったよ?」
「いいよ。タクシー拾うし。」
蜜は気にしないでと軽く手を挙げると禅の傍らに置いてある荷物に手をかけた。
「泊まってけよ…」
荷物にかけた手を禅に掴まれて真剣な眼差しでそう言われる。
「いや…あの…ほら…でもさ…」
上手く言葉が出て来ない。
今までとは違う禅の眼差しに明らかに動揺している。
耳の中にうるさいくらい響き渡る鼓動。
掴まれた手をふりほどけないのはなんで?
普通に考えればお泊まりなんて有り得ないのは分かってる。
だけど当たり前のように断れずにいるのは何でなの?
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