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「ねぇ禅ちゃん。公務員って思ってた以上にお給料いいんだね!」 「え?普通じゃね?」 「だって!お風呂丸いし!ジャグジーあるし!」 蜜が興奮気味にそう言うと禅はクククッと笑うと新しいビールを開けた。 「気に入った?」 「うん!!スッゴく気持ちよかった!」 「毎日入りに来てもいいよ?なんならここに住んだら?」 禅はずいっと顔を近づけてニヤリと笑う。 「いや、住まないし。」 蜜は冷静にそう言うと禅の手からビールを奪って一口飲んだ。 「でも…」 「でも?」 「疲れた時とかさぁ…入りに来てもいい?」 蜜はてへっと笑いながら上目使いでそう言った。 思ってもいなかった突然のお願いに思わず口元が緩む。 余裕の笑みを浮かべていたはずなのに、いつのまにか込み上げる笑みを隠せなくなっていた。 ヤバい。 この緩みきった顔は見せたくない。 禅は慌てて立ち上がると机の上からタバコとライターを掴むとバルコニーへ出て行ってしまった。
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