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もしかしたら、禅を好きになりかけてるのかもしれない。
そう認めざるを得なかった。
心の奥底でキツくキツく結ばれた戒めの鎖が僅かだが緩んでいるのを感じる。
でも、認める訳にはいかなかった。
あまりにも大き過ぎた代償の代わりに得た教訓は簡単に人を好きになるなど、まして愛する事など許してはくれなかった。
本気で好きになってはいけない。
僅かに緩みかけた戒めの鎖が今一度堅く、更に堅くなってゆく。
それでも思い出してしまった温もりを簡単に手放す事は出来なくて…
そっと額を離しても、禅のシャツをぎゅっと掴んだ手は離す事が出来なかった。
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