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離れる事を拒むように、絡み合った舌が解けてもいつまでも啄まれる唇に、いっそこのまま全てを委ねてしまおうかと思った。
しかしチリチリと胸の内側から込み上げる痛みはそれを許してはくれなかった。
一度だけ。
そう、一度だけ。
これで終わり。
そうすればまだ間に合う。
彼もやがて他に良い人を見つけるでしょう?
それまで…
絶対に愛さないと誓うから…
それまで近くにいてもいいでしょう?
彼の瞳が私を写さなくなったら直ぐに消えるから。
だからそれまで…
ズルい自分を肯定して、でもそれがあなたの為だからと真に彼の幸せを思い、意を決して瞳を開けた。
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