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セミダブルのベットは大人2人が眠るには少し窮屈で、どうしても腕や足が当たってしまう。 「蹴ったらごめん。」 「寝相は良いって言ってなかった?」 「寝てる間の事はわからないもん。」 「抱き枕なくて平気なの?」 「わかんないけど、まぁそのうち寝るよ。気にしないで寝ていいよ。」 「俺も抱き枕があった方が良く眠れるんだ。」 そう言うと蜜の首の下に腕を滑り込ませた。 「腕痺れるよ?」 「大丈夫だよ。」 反対の手が腰に回って後ろから抱き締められた。 反則… この腕の温もりを拒否出来ない事が分かっているのだろうか? 首元に禅の髪がかかって息がかかる。 「ハニーちゃん、いい匂いがする。」 顔をうずめられて囁く唇が首元をくすぐる。 「おんなじシャンプーだよ。」 「シャンプーじゃないよ。ハニーちゃんの匂い。」 禅の指先が腰から素肌をなぞって背中に届く。 「ちょっと!やっ!」 プチンと微かな音と共に締め付けられていた胸元が解放された。 「ノーブラ派なんでしょ?寝るとき。」 肌に吸い付いたように背中からわき腹をなぞる指。 「遊んでないで早く寝なさい。」 禅の顔はまだ首元にうずめられたままで、そっとキスを落とす。 「ちょっと禅ちゃん!」 「ルールは守ってる。」 「そうだけど…」 「唇にキスしなくてもいろんな事出来るよ?」 「そうだけど!」 「ガマン出来ないって言ったらどうする?」 ふいに真剣さを増した声で問われた。 隣に海人がいるから、キスはしないと約束したから、そんな言い訳は本気の男の前では通用しない。 そんなことわかりきっていたはずなのに。 でもこの腕に抱かれてはいけない。 隙を作ったのが自分だとしても。 ズルい女でごめんなさい。 「公務員はガマン出来ます。」 予想外の言葉に禅の指が止まった。 「はい、お利口さん。」 わき腹から禅の手を引き抜くとギュッと手を繋ぐように握りしめた。 「公務員辞めようかな?」 禅の呟きは敢えて無視することにした。
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