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リビングに移動して、ふと時計を見るとまだ7時を少し過ぎた所だった。
休みの日なのに…
一瞬海人を恨めしく思ったが、人の家でゆっくり寝ている訳にはいかないし、これで良かったと思い返す。
「海人くんごはん何食べる?」
「チョコのパン!」
あぁ聞かなきゃ良かった。
昨日で懲りたはずだったのに…
絶対この家にチョコのパンなんてないに決まってる。
仕方ない。買いに行くか…。
そう思って禅に伝えようとしたが、禅の姿が見当たらない。
キョロキョロしながらもとりあえず海人にオレンジジュースをついで出してやる。
そうこうしているうちに携帯を肩に挟んで、誰かと話しながら禅が戻って来た。
「わかった。じゃあ10時に。」
そう言うと切れた携帯をキッチンカウンターに置いた。
「待ち合わせ?」
「うん。そう。海人の受け渡し時間。」
「何時に出る?」
「9時過ぎかな?」
まだ2時間近くある。
それなら朝食の時間は十分ある。
「海人くんのリクエストはチョコのパンだって。一応聞くけどある?」
「あぁ。あいつはうちに泊まるといつもそれなんだよ。」
禅はそう言いながらスウェットの紐をしめた。
「10分くらいで戻るから海人見ててもらえる?」
「うん。いいよ。」
禅はポンポンと蜜の頭を撫でて、爽やかな笑顔を残して出て行った。
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