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｢確かに若いとは言えないけど…｣
｢いや、ちがっ、誉めたつもりなんだけど！｣
明らかに気落ちした感じの禅を見て慌てて取り繕ってみる。
本当に凄いなって思ったんだけど、言い方が悪かったよなぁ…
確か勘と同級生だから今年32歳のはず。
いやいややっぱり年の割にはって言葉、間違ってないよなぁ。
｢消防士さんってそんなに鍛えてるの？｣
そう言って、ゆうべの事を思い出す。
あぁそう言えばイイからだしてたっけ。
｢そうだね。キツいから途中で止めようって訳にはいかない商売だから。｣
｢大変なんだね。｣
｢そうでもないよ？海人のお迎えに行くとつくづく思うよ。走ったり登ったり、やってること一緒だなって。｣
そう言って優しく笑う禅にクロワッサンをちぎる手は完全に止まってしまった。
｢食べないの？｣
ちょっと意地悪そうに目を細めて微笑む禅にはきっと私の心中がお見通しなんだろう。
我ながらわかりやすいリアクションだと思うもん。
でも吸い寄せられる。
不可抗力だよ…。
やっぱりあんまり近くにいたらダメだ…。
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