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「だよねぇー!」
自嘲的な笑顔になってしまうのはもうこの際仕方がない。
「えへへへへッ」
もう笑うしかない。
薄ら笑いを浮かべながらこれでよかったんだと思う。
それは若干の負け惜しみみたいな感情ももちろん含まれるけれど。
もし、私が感じてた『恋心』が本物だったとしても、禅がそう言うつもりなら『本気の恋』には発展するはずもなく・・・
私の葛藤は杞憂に終わったというこだ。
だから良かったんだ。
初めから分かっていれば傷付くこともない。
これからは、ある意味安心してこの場所にいられるということだから。
太郎とも好きなだけ戯れられるし、たまには昨夜みたいに甘酸っぱい思いもできる。
そう考えたら、何だか良いことずくめのような気がしてきた。
「私もそれが良いと思う!」
突然そう言われても禅は何となく頷くことしかできない。
物凄く嫌な予感がしたが、話を蒸し返してまた蜜あんな顔をさせるのは嫌だった。
どのみち禅は自分のやり方で思いを貫き通すと決めていたので、それ以上何も言わないことにした。
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