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「辛い話をさせてごめん。」
勘は車をゆっくり停めると、振り返ってそう言った。
蜜は軽く首を横に振ると精一杯明るい声を出せるようくいっと顔を上げて笑った。
「深刻に話してたけどさ、実は禅ちゃんに告白された訳でもないし、そういう雰囲気でもないんだよね。私達。仮定の話で熱くなりすぎじゃない!?」
「蜜・・・」
「もぉ!尚!何なのよその顔!やめてよね!もどきでも一応恋愛なんだからいいじゃん。ね?」
何か言おうとしていた尚を勘が視線で制した。
「わかった。口出しはしないよ。ただ、何かあったらちゃんと話して?相談って言うと仰々しいけど。尚は蜜ちゃんと恋バナって言うの?あれがしたくて堪らないんだから。」
勘は分かってくれたようだ。
自然と入っていた肩の力が抜けたのが解った。
これで禅ちゃんに迷惑かけないで済む。
「まぁ提供できる話があるかどうか微妙だけどねぇ。唇にキスするのも禁止だし、体の関係は端から持つ気ないし、大体犬と子供も一緒だろうし。恋愛要素うっすいから。」
てへっ!っと笑う蜜は完全に自虐的だったけれど、二人はそれに気付かないフリをした。
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