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海人の発言に気を取られていたが、姉の追及はまだ終わっていなかった。 「で?いつから女の子を部屋に泊めるのが普通になった訳?」 「昨日から。」 ぶっきらぼうに答えたのはせめてもの反抗だった。 もう話すことは何もない!というところまで追及されるのは目に見えていたから。 「へぇ!?見直したわ。初対面でお持ち帰りなんてスゴいじゃない!」 「あのなぁ!」 そこ感心するところかよ!? そう突っ込みたい気持ちを押さえる。 何せ相手は姉だから。 何事も一筋縄でいった試しなどないのだから。 「悪いけど今はまだ微妙なんだよ。色々と事情もあって。だからそっとしておいてくんないかな?」 もうダメ元でそう言うしかなかった。 このまま素直に答えているだけでは『今からここに連れてこい』と言い出しかねない。 「あたりまえよう!邪魔する気なんて全然ないし!」 あぁ・・・この人に何を言っても無駄だった。 「で?どんな子?ハニー!なんて良く恥ずかしげもなく呼べるわねぇ!」 「ちげぇよ。名前だよ。蜜って名前なの。だからハニーちゃん。」 壁に寄りかかって次の質問に備える。 あれ? 何で何も言ってこない? 今までの高すぎるテンションとはどこへやら。 姉はじっとこちらを見つめて何か考え事をしているようだった。 「蜜ちゃんって言うんだ?珍しいわね。名字も変わってるの?」 「え?名字?名字は普通。」 「名字は何?」 何でそんなに名前に拘ってるんだ? 訳がわからないままとりあえず答える。 「平間だけど?」 「平間?平間蜜?」 「何なんだよ?ハニーちゃんのこと知ってるの?」 そう言って、ハッとした。 「姉ちゃん知ってるんだな?母ちゃんはもしかしたら覚えてるかもしれないと思ったけど、姉ちゃんも知ってるんだろ!?」 そうか。そうだ。 5年前、蜜が救急搬送されたのは実家の病院だった。 母はもしかしたら覚えているかもと思っていたが、姉が知っていると言うことは・・・ 「疾患は?拒食症だけじゃないいんだろ!?」 . 
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