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「知ってたとしても教える訳ないじゃない。」
姉はあっけらかんとそう言いはなった。
「何でだよ!今は姉ちゃんの気まぐれに付き合ってる場合じゃねーんだよ!」
詰め寄る禅に姉はフンッと鼻で笑って答えた。
「なっ!」
「あのねぇ。私は医者よ?守秘義務ってもんがあるでしょうが!まったく。」
守秘義務。
確かに患者の情報を第三者に伝え漏らすなどあってはならないことだ。
でもさぁ・・・
この状況でそれ言うか?
禅が不満そうな顔をしているのを横目に姉は続ける。
「ちょっかい出そうとしてるなら許さないわよ?」
姉の言い方はまるで蜜を擁護しているようだった。
5年前、一体何があったんだ?
ただ患者として知り合っただけではないような気がする。
「じゃあ疾患名はいいよ。アイツどんなだった?」
「それも答えられないわね。それより・・・」
姉は一息置いて、キッと禅を睨むように見据えた。
「昨夜は海人がいたからまさか手を出したなんてことないと思うけど・・・」
「出してねぇよ!」
「私が良いって言うまで出しちゃダメだからね?」
はぁ?
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