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そうして毎晩の特訓が始まったのだった。 西宮の車で会員制の練習場へ向かいみっちり練習。 3日目には運動不足の体はバキバキになり、全身が悲鳴をあげていた。 そんな訳で今日も仕方なく駐車場へ向かったのだった。 「遅い。」 黒塗りの高級車には既に西宮が座っていた。 「遅いって、たった3分しか遅れてないじゃないですか。」 ぶつぶつ言いながらも助手席に素早く座る。 「大体こんな所誰かに見られたらきっと誤解されますよ?」 「俺は別に構わないよ?蜜だって男がいるわけじゃないだろ?」 「そうだけど!」 もともと業務での関わりもあり、ここ数日多くの時間をこうして二人で過ごすようになって、蜜は社長である西宮に対してすっかり砕けた態度で接するようになっていた。 「社長はいるんでしょう?」 「特定のひとはいないよ。」 「そろそろ身を固めろって言われてるんじゃないんですか?」 「確かに言われてるね。」 「じゃあ私とこんなことしてる場合じゃないでしょう?早いとこ一人に絞って婚約者を同伴させてくださいよ。」 蜜は筋肉痛の肩をぐるぐる回しながらそう言った。 西宮は少し考えてから、不適な笑みを蜜に向けた。 「なっ、何ですか!何かまた企んでる!」 「企んでるなんて滅相もない。ただそれも良い考えだなって思っただけだよ。」 視線を前方に戻して西宮は静かに言った。 「じゃあ私はお役目ゴメンですね。」 「そうは言ってないけどね。」 西宮は小さな声で呟くと慣れた手付きで車を駐車場に滑り込ませた。 「さ、行こう。」 そう言うと二人分のゴルフバックを両肩に担いでフロントへ歩き出した。
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