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着替えを終えて小走りで駐車場に向かう。 西宮はゴルフバックを車に積んでいるところだった。 「すみません。」 「べつにいいよ。今日は何食いたい?」 「クタクタでお腹空いてません。」 それが正直な気持ちだった。 西宮は毎日練習後、素敵なレストランに食事に連れて行ってくれた。 しかし、所詮一般人の蜜には少々堅苦しく、疲れた体で行くのは躊躇われた。 「確かにグッタリって感じだな。」 「毎日付き合わせてスミマセン。社長もお疲れでしょ?」 「全然。俺鍛えてるから。」 「体は平気だとしても仕事はそろそろマズイでしょ?毎日定時上がりで大竹さんが困ってましたよ?」 西宮の第一秘書の大竹が困っていたのは本当の話だった。 同じ秘書室の尚も同じ様な事を漏らしていた。 「蜜は心配しなくていいよ。」 「困ります。私の決裁だって返って来てないし。だから明日からは1人で練習しますよ。」 蜜の言葉に西宮は驚いたように顔を向けた。 「ちょっと危ない!前見てくだだいよ。そんなに驚くことじゃないでしょ?本当は彼女を1人に絞ってもらってお役目御免出来たら一番いいんですけど。」 そう言ってイタズラっぽく笑う蜜に西宮も前を向いたまま笑って返す。 「いっそのこと蜜が彼女になるってのはどう?」 「私!?冗談止めてくださいよ。」 「何で?俺結構マメだし優しいよ?」 「私、お金持ちとは付き合わない主義なんで。」 「何だよそれ。」 「いいんです。そう決まってるんです。」
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