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「勿論いいよ。で、アイツは誰?」 「あぁ、あの人はうちの社長。」 あっけらかんとそう言った蜜に禅はため息を漏らす。 何で社長が蜜を送って来るんだよ? しかもこんな大荷物持って。 まさかアイツの家に泊まってた? 確かに随分親しげだった。 でもハニーちゃんに限って・・・ 禅が険しい顔で1人思考を巡らせていると不意に腕を引かれて慌てて視線を向ける。 蜜は禅の腕を引いてアパートに向かって歩き出していた。 「すぐ用意するけど、ここで待たせるのもなんだから一緒に来て?」 そして導かれるまま蜜の部屋に上がり込んだ。 こじんまりとしたその部屋はスッキリ片付けられていた。 引き戸で仕切られた一応1LDKの造りのようだ。 「座って待ってて。」 蜜は持っていた大きなバックから着替えを出している。 「アイツと着替えが必要なことしてたの?」 自分にそこまで聞く権利はないとわかりつつも、聞かずにはいられなかった。 「あぁ、これ?」 そう言って蜜が広げて見せた服にはウサギの小さな刺繍があった。 「ゴルフ?」 見覚えのあるゴルフブランドのロゴを見つけてそう聞くと、蜜は嫌そうな顔をして深く頷いた。 「愚痴になるけど聞く?」 「いいよ。じゃあ風呂にでも浸かりながらゆっくり聞こうか。」 「えっ!?一緒に入る気!?」 「勿論。何ならタオル巻いてもいいよ。今日は特別。」 「何それ!?」 「だってゆっくり入る気だろ?長風呂されたら待ってる間つまらないから。」 「そういう問題?」 「じゃあ水着持って来なよ?それならいいだろ?」 何だかよくわからない展開に、考えるのがだんだん面倒になってきた。 ま、水着ならいいか? あのお風呂ある意味プールだし。 「じゃ水着持ってく。」 蜜の素直な答えに禅は思わず腰を浮かせた。 「マジで!?」 「え~?冗談だったの?」 「いや、俺は大真面目。」 「どっちよ!もう、いい。とにかく疲れたから早く行ってジャグジー入ろうよ!」 「了解。」 そうして蜜の部屋を後にした。
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