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「ねぇハニーちゃん、俺、あとどれくらい我慢出来ると思う?」 突然そう言われた蜜は初め何の事だかサッパリ解らずにいた。 禅はがっちり蜜を抱き締めたまま襟元に顔を埋めている。 「あのさ、取り合えず一回、その先生の所に行ってみない?」 そう言われてやっと意味を理解した。 確かに、良い年をした大人がいつまでもプラトニックな関係でいるのは難しい。 わかってはいるが、蜜はどうしてもそこに一歩足を踏み入れることを躊躇していた。 「ねぇ、禅ちゃんはさ、もう良い年だし、結婚とか考えてないの?」 「考えてるよ。今は。」 「じゃあこんなことしてる場合じゃないじゃん。」 「どうして?」 「まぁよっぽど若い嫁を貰うなら問題ないけど、女にはリミットがあるじゃない?結婚はいくつになっても出来るけど、子供はそうもいかないよ?」 蜜は無理矢理体を起こして、禅の目を見つめて真剣にそう言った。 自分はおそらく子供をもうけることが出来ない。 でもだからこそ、それが如何に大事な事なのかわかる。 「じゃあ、いまからつくる?」 禅は真面目な顔をしてそう言った。 イマカラツクル? 出来るものならそうしたいよ・・・ 出来ることなら、人様の危険日を拾って歩きたいと思ってるくらいだよ。 でも私には出来ないんだよ。 そう思ったら、すっかり受け入れていた筈の事実が重くのし掛かって来た。 禅にその話をしなくてはならないのがひどく苦痛に感じる。 結局蜜はその事実を打ち明ける事ができなかった。 勘から伝えて聞いた時はそれまでだ。 騙す訳では決してない。 私はあなたの一生は望まないから。
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