5

35/194
前へ
/1073ページ
次へ
「私は誰とも結婚しないって言ってるじゃん。」 「じゃあ俺も。ハニーちゃん以外には考えられないから。」 禅がそうサラリと言った言葉は、受け方によってはプロポーズのようにも取れて、蜜の顔が一気に赤くなる。 「真面目な話だよ!」 「俺だって真面目だけど?」 当たり前、のようにそう言う禅の顔は冗談を言っている風には見えなくて、慌てて話題を反らす。 「それにっ!」 「それに?」 「私、実は苦手なんだよね。」 「苦手って?」 蜜は話題を反らすことに必死で、打ち明けるつもりもなかった告白をしてしまった。 どうしよう?誤魔化せる? ジリジリ顔を近付けてくる禅に、蜜はため息をついて降参した。 「だから、苦手なの。アレ。」 「処女、ではないよね?」 「経験があるから苦手って言ってるんでしょ?カマトトぶるつもりはナイんだけど、どうも苦手って言うか、私には合わないって言うか、ぶっちゃけ何がそんなに良いかわかんない。しなくても良くない?」 蜜の告白に禅は俯いて深く溜め息をついた。 「なっ!お子ちゃまだと思ってるでしょ!?違うよ!色々試したけどダメだったんだもん!体質だよ!体質!」 「結論から言って、気持ち良くないってこと?」 せっかく言葉を濁しながら説明したって言うのに! デリカシーってもんはないの!? 蜜は顔を真っ赤にして禅を睨みつけた。 「色々試したって言ってるでしょ?それでもダメなんだから体質なの!」 蜜はもう開き直るしかないと決めた様だった。
/1073ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15840人が本棚に入れています
本棚に追加