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「私は誰とも結婚しないって言ってるじゃん。」
「じゃあ俺も。ハニーちゃん以外には考えられないから。」
禅がそうサラリと言った言葉は、受け方によってはプロポーズのようにも取れて、蜜の顔が一気に赤くなる。
「真面目な話だよ!」
「俺だって真面目だけど?」
当たり前、のようにそう言う禅の顔は冗談を言っている風には見えなくて、慌てて話題を反らす。
「それにっ!」
「それに?」
「私、実は苦手なんだよね。」
「苦手って?」
蜜は話題を反らすことに必死で、打ち明けるつもりもなかった告白をしてしまった。
どうしよう?誤魔化せる?
ジリジリ顔を近付けてくる禅に、蜜はため息をついて降参した。
「だから、苦手なの。アレ。」
「処女、ではないよね?」
「経験があるから苦手って言ってるんでしょ?カマトトぶるつもりはナイんだけど、どうも苦手って言うか、私には合わないって言うか、ぶっちゃけ何がそんなに良いかわかんない。しなくても良くない?」
蜜の告白に禅は俯いて深く溜め息をついた。
「なっ!お子ちゃまだと思ってるでしょ!?違うよ!色々試したけどダメだったんだもん!体質だよ!体質!」
「結論から言って、気持ち良くないってこと?」
せっかく言葉を濁しながら説明したって言うのに!
デリカシーってもんはないの!?
蜜は顔を真っ赤にして禅を睨みつけた。
「色々試したって言ってるでしょ?それでもダメなんだから体質なの!」
蜜はもう開き直るしかないと決めた様だった。
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