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聞けば、職業柄、メガネはあまり好ましくないので、寝ている間も装着し続けられるコンタクトをしているということだった。
「コンタクトのがよかった?」
そう言われて蜜は更に禅を見つめる。
いや、メガネのがずっと好みだ。
メガネ男子は嫌いじゃない。
「私はメガネのがいいな。」
蜜のことばに禅は意外そうな顔をした。
「インテリっぽくて私はスキだけどなぁ?」
「ありがと。でも悩むなぁ。」
禅はニヤリと笑ってそう言った。
「何かまた企んでるでしょ!?その顔!」
蜜は咄嗟に捕まれていた足を禅の手から引き抜くと、ソファーの一番端に飛び退いた。
「企んでないよ。ただどうやってしようかな?って考えてただけ。」
「しようかな?何するつもりなの!」
やっぱり企んでる!と蜜はジロリと禅を睨むが、当の禅はニッコリ微笑み返す。
「メガネしてるとキスしにくい。」
禅はそう言いながら蜜に触れるだけのキスをした。
「ちょ!ルールはっ!?ルール!」
「ああ、あれ?覚えてたんだ?」
「当たり前じゃない!」
蜜は禅を睨むが全く効き目なさそうだ。
「嫌じゃないでしょ?」
「そればっかり!」
「その先我慢してるんだし、キスくらいはもう解禁してくれないかなぁ?」
禅はそう言って再び蜜の足を掴むと、足の裏をマッサージし出した。
「ちょ!えっ!?」
「気持ちいいでしょ?」
確かに疲れた足を揉みほぐされるのは気持ち良い。
しかも力加減も申し分ない。
「テレビ見てていいよ?」
「でもなんか悪くない?社長に揉ませるならわかるけど。」
「揉ませるか!」
「えっ!禅ちゃんってソッチ系?私、Sっ気ないんだけど!?」
「違うよ。触らせたくないの。そうだ、で?練習続けるの?来週も?」
触らせたくない、と言われて一瞬ドキッとしてしまった。
変に意識しないように、意識してると気づかれないように、慌てて口を開いた。
「一応社長も忙しいと思うし、一人でやるって言ったけど。」
禅はマッサージを続けながら浮かない顔をしている。
どうにかして蜜を社長から遠ざけようとしているのは明白だ。
そんな心配することないのに。
「社長とはいくら二人でいても何にもないよ?それにこれも仕事だし。」
「男には代わりないだろ?」
禅がこうやってヤキモチをやいてくれるのがなんだかとてもくすぐったい。
それに、正直・・・
ちょっと・・・いや、かなり嬉しい気がする。
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