5

43/194
前へ
/1073ページ
次へ
「それに私、お金持ちはたとえどんな人であろうと対象外だから。」 「えっ!?」 「あ、禅ちゃんもこんな良いとこ住んでるし一応お金持ちだったねぇ!?」 蜜はイタズラっぽく笑って禅を見る。 禅は少しだけ眉を下げて笑っている。 「俺は金持ちじゃないよ?ここは姉夫婦の持ち物。二人とも医者だから、まぁ、そこそこ持ってるんじゃない?」 蜜のあからさまな驚き顔に禅はプハッと吹き出した。 「ボーナスはほぼ確実に出るけど、月収は普通だよ?」 「まぁ、考えてみたらそうだよね。」 「でも何で金持ちはダメなの?普通反対じゃない?」 蜜はそう問われるとあからさまに動揺した素振りを見せた。 無意識なのだろうが、肩を大きく上下させて深い呼吸を繰り返している。 そして堪えきれないといった風にぎゅっと目を瞑った。 「ごめん。もういいよ。本当ごめん。」 蜜は目を閉じたまま小さく首を横に振った。
/1073ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15840人が本棚に入れています
本棚に追加