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ゆっくり深呼吸する。
目を閉じて呼吸を整える。
そう。あなたといるのは辛い。
声には出さずに練習してみる。
うん。大丈夫。言える。
ゆっくり目を開けて、口を開きかけた時、禅の両手が優しく蜜の両頬を包んだ。
「あっ・・・」
「ダメだよ。嫌だって言ったって。」
「えっ?」
「辛くても、嫌でも、もうダメ。離さない。」
禅はニッコリ微笑んでそっと唇を重ねた。
「禅ちゃん・・・」
「もうハニーちゃんの感触を覚えちゃったんだ。」
「でも・・・」
いたずらっぽく笑う禅に胸が締め付けられる。
何でそんなに優しいの?
私はあなたに何もしてあげられないのに・・・
眉を下げて涙が溢れそうな顔をしている蜜に禅は問いかける。
「ずっと辛かった?今でも辛い?」
蜜は素直に黙って頷いた。
「失った子供が恋しい?」
禅のあまりにストレートな質問に、蜜は心臓が止まりそうになった。
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