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「禅ちゃんって・・・」
蜜はそこまで言ってふいに口をつぐむ。
自分から言い出しておいて次に繋がる言葉が見つからなかったのだ。
どうしてこんな気持ちにさせることができるんだろう。
この人の何が・・・
どんなに考えてもうまく形容できる言葉が見つからない。
「俺って、何?」
「んー・・・禅ちゃんって・・・何者?」
禅は驚いた顔をして、すぐにプッと吹き出した。
「何者って、どういう意味?フツーの公務員のオッサンですけど?」
「いや、そういうんじゃなくて、何て言うか、お医者さんっぽいって言うか、教祖みたいって言うか、なんか洗脳されてるみたいって言うか、よくわかんないんだけど。」
「俺って医者向き?」
「え?あぁ、うん。向いてると思うよ?なんかこう、安心感があるっていうか。」
「そうか・・・初めて言われたな。」
「うん?そうだけど、言いたいのはそれじゃなくって。」
「洗脳してるって話?」
禅はおもちゃを見つけた子供のような顔でそう言った。
洗脳、は言い過ぎだったかな?
でも、本当に洗脳って感じなんだよなぁ。
価値観さえ変わってしまったような気がする。
禅と出会って。
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