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ダイニングテーブルには無造作に置かれたパン屋の袋。 カウンターにはコポコポと音をたてながら落とされているコーヒー。 そしてその風景にすっかり溶け込んでいる自分。 何だかずっとここに住んでいるような気になる。 よく考えたらここに来たのはまだ2回目じゃん。 当然ながら禅ちゃんに会うのも2回目。 なのに、何?この落ち着いちゃってる雰囲気は? ダイニングの椅子に座りながら、今さら過ぎることに気付く。 これって普通?それとも普通じゃない? わかんない!全然わかんないよ。 黙って自問自答を続けていると、目の前にトンとコーヒーの入ったマグカップが置かれた。 あぁ、いい匂い。 「そろそろこっちの世界観に戻っておいで?」 禅が袋からパンを出しながら平然と言う。 「え?」 「ハニーちゃんの百面相は面白いんだけど、そんなのグルグル考えてても答出ないでしょ?」 見透かされてる! ドキッとして禅を見上げるとニヤリと少しだけ悪い笑みをした禅に、ちぎったパンを口に突っ込まれた。 「んんっ!」 「全部食べたら教えてあげるよ。その答え。」 「何考えてたか分かるの?」 余りに余裕の禅に、本当に頭の中を覗かれてる気がして慌てて問いかける。 「俺は超能力者じゃないからわかんないよ。ただ正しい答は導き出せる。教祖だから。」 禅ちゃん・・・ 案外根に持つタイプなんだね・・・ 教祖様が嫌だったらそう言えばイイのに・・・
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