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「うん。消防に入る前ちょっと働いてたんだ。」
「えっ!?そうなの?あれ?消防士って、救急の方だっけ?」
「いや、レスキュー。それは置いといて、芹澤先生は今療休でいないから違う先生に診てもらおう?」
禅は平然とそう言った。
今この時点で、みなと総合病院が実家であることも、医師芹澤美和が姉であることも告げるつもりはなかった。
このタイミングで全てを話したら、まるで家族一全員で蜜を取り囲むようだし・・・
ややこしい事になるのは必須。
そうなると、姉はきっと黙っていられないだろうし、第一スンナリ禅に診察結果を教えるとは限らない。不在の今はまたとないチャンス。
病院には知り合いの医師も沢山いるし、何より禅にはどうしても確かめておきたいことがあった。
盗み見るつもりはないが、過去のカルテを確認するためには融通のきく知り合いの医師に診てもらうのがいちばん手っ取り早い。
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