15840人が本棚に入れています
本棚に追加
/1073ページ
病院に入ってすぐ目についた総合受付の文字。
そうだ・・・
診察券持ってない!
カード型の保険証はいつも財布に入っているが、もうここ何年もかかってない病院の診察券なんて持ち歩いてはいなかった。
やっぱり思いつきで来るなんて無理があったんじゃ・・・
しかし蜜の手を握って少し前を歩く禅は受付のカウンターに目もくれずに通り過ぎてしまった。
「ちょっと!禅ちゃん!受付!」
「大丈夫。」
ポカンとしたままの蜜はそのまま禅に連れられて診察室の並ぶ廊下まで連れて来られてしまった。
「ここでちょっと待ってて。」
禅は蜜を待合室の椅子に座らせると診察室の受付へ。
「禅ちゃん!ダメだよ!先にあっちの受付行ってからじゃないと!」
慌てて禅に駆け寄ってその腕を掴むと、禅は平然とした顔で言った。
「平気だから。座ってて?」
「え?」
またもやポカンとする蜜をその場に残して禅は受付の女の子に何か話している。
そして受付横の扉から中へ入って行ってしまった。
ポカンとしている蜜に、診察室の受付嬢は笑顔で言った。
「座ってお待ちください。横山先生と少しお話しされるだけだと思います。平間さんは次にお呼びしますので。」
何で私の名前知ってるの?
禅ちゃんの知り合いっぽいし。
口頭で受付したってこと?
「大丈夫です。先程若先生からお電話頂いたので、受付は済ませてありますから。」
ニッコリ笑った受付嬢に愛想笑いで会釈して椅子に戻る。
気になるワードがあったんだけど?
若先生って?
まさか禅ちゃんのことじゃないよね?
最初のコメントを投稿しよう!