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「たろーー!」 蜜は太郎を抱き締めて身体中を撫でまくる。 太郎は千切れんばかりに嬉しそうに尻尾を振って蜜を舐めまくる。 禅は目を細めてその光景を見ていた。 「散歩行こうよ!リードは?」 蜜はそう言ってやっと立ち上がった。 「ガレージにあるよ。」 禅に促されて広い庭を突っ切るようにガレージに向かった。 「スゴい庭だね。」 「広さはね。だけど手入れが行き届かないってお袋が嘆いてるよ。」 全体的にはこざっぱりしていて、芝も刈り込んであるし、必要最低限の手入れは出来ているようだが、良く見れば花のない花壇や伸びすぎた庭木もある。 蜜は立ち止まると庭を見渡した。 ウズウズする! きっと手入れしたら物凄い庭になるに決まってる! あの花壇にもグラデーションで花を植えて、あっちの藪は・・・ 「ヤダ!バラじゃない!」 一見藪に見えたそれは回廊状に作られたバラ園だった。 思わず駆け出した蜜を慌てて追いかけると蜜は膝をついてバラの木を覗きこんでいた。
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