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「え・・・今からこれやるつもり?」
「今やれば秋バラはキレイに咲くから!」
蜜は自信満々にそう言うと禅の手を取って来た道を引き返した。
「あるよ、ある!よくお袋が庭からバラを切って飾ってたから、そのハサミあるはず!」
「え?ああ、もっと業務的なやつ。バッサリ行くから。」
蜜はそう言うとまた禅の手を引いて足早に歩き出した。
ホームセンターに着くと、まずガーデンコーナで花の苗を見て回る。
イキイキと目を輝かせる蜜に禅は黙って着いていく。
「あの庭のイメージはどんな感じ?」
「イメージ?太郎の運動場?」
「違うよ!どんな花がいい?色は?原色系でグラデーション作る?パステルカラーで優しい感じ?禅ちゃんのおかあさんはいつもどんな花を飾ってる?」
目を輝かせた蜜に矢継ぎ早に質問されても禅はこまったように笑うことしかできない。
何せ今まで意識して庭など見たことなんてなかったのだから。
「ハニーちゃんの好きな風にしたら?」
「そういう訳にはいかないわよ!人の庭なんだし。
・・・って
私暴走してたけど、勝手にいじったらダメなんじゃ・・・」
今気付いた、という風に蜜は茫然と禅を見つめて立ち尽くす。
「いや、いいよ!全然いい。逆に感謝されると思うよ?」
ほっとしたように満面の笑みを浮かべた蜜に思わず顔を緩ませる。
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